ローム ハイエンドDAC BD34352EKV

ロームは12月21日に,フラグシップとなるDACチップBD34301EKVの技術を継承したハイエンドモデル用としてBD34352EKVを開発し,販売を開始したとの発表がありました.

記事によると,このBD34352EKVはBD34301EKVと完全ピン互換があるとのこと(実際にデータシートのピン配置を比べましたが全く同じでした)なので物理的にはDAC-BD34301に載せ替えることができそうです.そこで,データシートからそれ以外の互換性をざっくりと確認します.

レジスタマップ

ファームウェアの互換性についてレジスタマップを確認しました.6個のレジスタについて設定ビットの追加や設定内容の変更がありました.以下,その詳細です.

レジスタアドレス01h Chip Version

BD34301EKVでは01hでBD34352EKVは52hとなっています.今のところChip Versionは見ていないので問題ないです.

レジスタアドレス16h DSD Filter

BD34352EKVではDfSettingというビットが増えていて,「1 」を設定するようになっています.BD34301EKVでは「0」を設定することになっています.

また,DSDフィルタのカットオフ周波数も違っていて,BD34301EKVよりも高く設計されています.

レジスタアドレス20h Volume Transition Time

BD34352EKVではVttSetting[2:0]ビットが追加され「111」を設定するようになっていてこれ以外の設定は禁止です.BD34301EKVでは「100」が初期設定されておりこれ以外の設定は禁止されています.

レジスタアドレス29h Mute Transition Time

DSDモード時のミュート遷移時間が僅かに短くなっています.レジスタ設定の変更の必要はないと思いますが.

レジスタアドレス42h Setting 2

BD34352EKVではSetting2[7:0]は16hを設定するようになっています.BD34301EKVでは34hを設定することになっています.

レジスタアドレス43h Setting 3

BD34352EKVではSetteing3[7:0]は2Dhを設定するようになっています.BD34301EKVではB8hを設定することになっています.

このようにいくつかのレジスタの設定値は変更する必要があるようですのでファームウェア互換というわけには行かないようです.

差動LPFのゲイン

その他では差動LPFのゲイン(増幅度)も変更されています.

応用回路例をみくらべると,BD34301EKVでは約-11dBの増幅度ですがBD34352EKVでは約-7dBとなっていて4dB程増幅度が減っています(BD34301EKVの約1/1.6).これは先の記事で「新たに出力電流を調整」したとありましたがその結果のようです.BD34301EKVの出力電流はPeak to Peakで9.8mA(Typ.)のところBD34352EKVでは5.625mA(Typ.)となっています.出力電流を減らした分IV変換後の電圧が小さくなるのでその分差動LPFの増幅度を減らしているということですね.

 

このようにレジスタの設定の変更と差動LPFの定数の変更はありますが軽度の修正で済みそうですね.チップを入手して確認してみるとします.

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