AK4499のデュアル・モノ システムをデジタルオーディオロジック基板を使用して構成します。
デュアル・モノ構成はAK4499のモノモードで紹介しているようにレジスタコントロール&アイソレーション基板を使うこともできます。この場合I2S信号は1系統のためデュアル・モノ構成にするには信号の分岐等必要となりケーブルの配線がやや複雑になっています。デジタルオーディオロジック基板(以下LOBDAS)を使うことで配線が単純になりかつ、信号の分岐がなくなる為、クリーンなI2S信号を各DAC基板に供給することができます。このことは音質の向上にもつながります。
LOBDASはマイコン(ESP32-WROOM-32)を搭載しAK4499レジスタの他、表示装置、CPLDの制御を行っておりより汎用的な使い方が可能になります。また、CPLDは3チャネルの入力ソース(I2S、LVDS to I2Sレシーバー基板そしてUSB-I2S変換の機能を持つCombo384からのI2S信号)からPCM/DSDの識別、PCM/DSDのサンプリング周波数検出機能を有しています。DSDのサンプリング周波数ではCombo384に無いDSD256/512の検出も可能になります。
電源は2個のトロイダルトランスが載ったデュアルトロイダルトランス基板と、LT3045とLT3093の超低ノイズレギュレータ基板によって、完全に独立した高品質なアナログ電源とデジタル電源が生成され、DAC基板電源とデジタル基板電源は完全に分離されます。
構成要素
使用した基板は
- LOBDAS×1
- デュアルトロイダルトランス基板×1
- 超低ノイズレギュレータ基板×1
- AK4499EQ 32bit DAC基板×2
- ローパスフィルタ基板×2
- LVDS to I2Sレシーバー基板×1
- Amanero Combo384(互換品)基板×1
- 有機ELキャラクタディスプレイモジュール 20×2行 黄色
です。基板間ケーブルはJSTのXHコネクタに対応する端子ピン(BXH-001T-P0.6)とハウジング(XHP)で作成した
- 2ピン 150mm×2本
- 3ピン 150mm×3本
- 2ピン 200mm×1本
- 3ピン 200mm×2本
- 6ピン 200mm×1本
- 6ピン 250mm×1本
- 2ピン 300mm×1本
- 2ピン 350mm×1本
と、2.54mmピッチコネクタ付きケーブル7ピン 300mmを使います。
今回は基板を固定するのに430mm×300mmの厚さ3mmのアクリル版を使いました。このアクリル板はアクリルショップ・はざい屋で穴あけ加工をしてもらっったものです。Φ3.2mmの40個の丸穴の加工で消費税プラス送料で4427円でした。それほど精度は必要ない穴あけ加工だけなのでアクリル板のカット加工のみで購入しドリル等で穴あけすることも可能だと思います。
スペーサはM3の長さ7mmの六角オネジメネジ40個、M3の長さ11mmの六角オネジメネジ20個、厚み1.5mmのワッシャー4個を使用しました。これらはヒロスギネットネットから購入しています。
プリント基板の固定
プリント基板を固定する穴にスペーサーを取り付けます。長さ7mmのスペーサーのオスを裏から挿し表からスペーサーのメスで止めます。今回はアクリル板の足の役目も兼ねてこのようにしていますが、この辺りはどうとでもやりようがあると思います。
表からメスで止めるのですがLPF基板とDAC基板を固定するところの計12箇所は長さ7mmのスペーサーを使い、それ以外は長さ11mmのスペーサーを使います。これは特に意味はなく単純に長さ7mmのスペーサーが足りなくなるからです。
超低ノイズレギュレータ基板、デュアルトロイダルトランス基板、LPF基板2枚そして有機ELキャラクタディスプレイモジュールを載せた状態です。LPF基板の4角には長さ11mmのスペーサーをネジ締めします。
AK4499 DAC基板を取り付けます。ここは多少注意が必要なところです。まず、AK4499 DAC基板を取り付ける4個のスペーサー(上の画像でLPF基板の下に見える4つのスペーサー)に高さを合わせるために1.5mmのワッシャーを挿入しさらに長さ11mmのスペーサーを取り付けます。そしてLPF基板のコネクタ(ピンヘッダー)にDAC基板のピンソケットを接続しますが、コネクタピンの曲がりやズレのないように注意します。LPF基板の4角のスペーサーのオスで位置決めされるのでゆっくり押して行けば問題ないと思います。
AK4499 DAC 基板を取り付けた状態です。AK4499 DAC 基板の設定については後ほど。
LOBDASを取り付けた状態です。LOBDASにはLVDS to I2Sレシーバー基板とAmanero Combo384の互換基板を載せています。LOBDASも設定が必要ですがこちらも後ほど。
ケーブルの接続
初めに書いたケーブルのリストの順番で接続します。以下、電源基板に近いA K449 DAC 基板をDAC1基板、他方をDAC2基板と呼びます。
- 2ピン 150mm:電源基板CN7 ⇄ トランス基板CN3
- 2ピン 150mm:電源基板CN2 ⇄ トランス基板CN4
- 3ピン 150mm:電源基板CN1 ⇄ トランス基板CN2
- 3ピン 150mm:電源基板CN6 ⇄ DAC1基板CN10
- 3ピン 150mm:LOBDAS CN12 ⇄ DAC2基板CN2
- 2ピン 200mm:電源基板CN5 ⇄ DAC1基板CN8
- 3ピン 200mm:電源基板CN3 ⇄ DAC2基板CN10
- 3ピン 200mm:LOBDAS CN13 ⇄ DAC1基板CN2
- 6ピン 200mm:LOBDAS CN11 ⇄ DAC2基板CN1
- 6ピン 250mm:LOBDAS CN10 ⇄ DAC1基板CN1
- 2ピン 300mm:電源基板CN4 ⇄ DAC2基板CN8
- 2ピン 350mm:電源基板CN9 ⇄ LOBDAS CN3
有機ELキャラクタディスプレイモジュール以外のケーブルの接続が完了した状態です。
有機ELキャラクタディスプレイモジュールに2.54mmピッチコネクタ付きケーブル7ピン 300mmを下表のように接続して基板間のケーブル接続は終了です。
ロジック基板CN2 | 有機ELモジュール |
1 | 1 |
2 | 2 |
3 | 3 |
4 | 4 |
5 | 7 |
6 | 8 |
7 | 9 |
最後に結束バンドでケーブルを綺麗にまとめます。
AK4499 DAC 基板の設定
AK4499 DAC 基板の設定です。LchになるのはDAC1基板でRchになるのはDAC2基板です。設定の内容はDAC1基板、DAC2基板のチップアドレスそしてI2Cシリアルバスインターフェースによるレジスタコントロールモードに設定します。
DAC1基板の設定
DAC1基板はチップアドレス(CAD1,CAD0)=(0,0)にしますのでJ14-J15の1ピン(DIF2/CAD0)をショートします。また、J13-J14の7番ピン(LDOE)をショートし、それ以外は全てオープンとします。
そして、J2-J4の5番ピン以外はショートし、J2-J3の5番ピンはショートします。また、J5-J7は全てショートします。
DAC2基板の設定
DAC2基板は(CAD1,CAD0)=(1,0)に設定します。J13、J14、J15の設定はDAC1基板と同じにします。
J2-J3の2番ピンと5番ピンをショートし、それ以外のJ2-J4をショートします。また、J5-J7は全てショートします。
LOBDASの設定
LOBDASの設定です。設定用のヘッダーピンJ2にはAmanero Combo384互換基板が接続された状態ではアクセスできないのでコネクタに接続する前に、または基板を外して設定してください。デフォルトの状態から変更するのはJ2の9-10番ピンをショートしてモノモードの設定にすることです。設定の詳細についてはLOgic Board for Digital Audio System 説明書を参照してください。
ACスイッチケーブル
電源の供給はAC100Vをトライダルトランス基板のCN1のターミナルブロックに入力します。そこで、ACラインをON/OFFするケーブルを作リます。メガネACインレットとロッカースイッチを使って、端子へのケーブル接続はハンダ付け後に絶縁チューブで覆いさらにグルーガンで固定しています。ロッカースイッチとメガネACインレットはマルツオンラインで購入できます。
線材は依線を使いましたので、線がバラけないようにハンダを塗っておきます。
デュアルトロイダルトランス基板のCN1に接続する際は、感電に注意しACケーブルは抜いた状態でターミナルブロックにしっかりねじ締めしてください。
電源オン時のOLED表示
電源オン時のディスプレイは、ヘッダーピンで設定されたシステム構成や設定状況を3秒毎に3回に分けて表示していきます。
最初にAK449xシリーズのどのデバイスを使った基板でのシステム構成(ステレオまたはデュアル・モノ)の表示、
次にデジタルインターフェースフォーマットとDSD Plalyback Pathの設定、
最後に出力レベル設定(AK4499の場合は出力電流,AK4493の場合は出力電圧でPCM/DSD Normal Path/DSD Volume Bypass)、ディエンファシスの設定、そしてDAC内部のDSDフィルター遮断周波数の設定になります。
そして初期状態の表示になります。入力ソースは電源オン時にはUSBとなっていて接続がない場合にはPCM 32kHzとなり、接続されていた場合には適宜その状況の応じて表示されます。出力レベルは前回電源オフの状態を保持しています。PCMのデジタルフィルタ特性は電源オン時にはShort Delay Sharpになります。
今回はAK4499 デュアル・モノ構成についてですが、今後ステレオ構成やAK4493システムについても追加していきます。